2020-09-22 没案1 裏通りの或る広場はすっかり陽が落ちていて、私はその広場で彼女を待つことにした。 広場を少し歩き回り、心の落ち着かないのと緊張とを無理にでも押し倒そうとした。 少し離れた所にある二十数回建ビル群の銀の輝き、電燈の光でライトアップされている木の幹、レンガ造りの荘厳な建物に装飾されているエンタブラチュア。 無意識に見つめて数分が経った後に、彼女が走ってくるのが視界に入った。 「走ってきたわ。」と言って微笑みかけてきた。 月の光を二つ感じながら、肩を並べて広場から出た。